甲子園大学心理学部 授業

甲子園大学心理学部 金敷担当の授業をアップします。

心理学統計法3 第4回 (2)

つづきです。

実際に,交互作用が有意であったときに,次にどんな分析を行うかを説明しよう。

単純主効果の検定,というのを行います。例えば,要因Aの1水準a1において,要因Bの水準間の差があるのかどうかを検定するというわけです。

数式は以下の板書の通り。

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統計法3 板書04-03

単純主効果の検定においても,平方和SSを求めて,自由度dfで割って平均平方MSを算出するのは同じ。平均値の表を使うのが,メインの分散分析と異なるところ。

まず,要因Bの各水準における,要因Aの単純主効果の数式。自由度はAの水準数マイナス1となる。

例で青字であげたように,b1におけるAの単純主効果を検討したいときは,平均値の表からb1の列の平均値を使い,板書のように計算する。

 

次ね。 

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統計法3 板書04-04

こんどは,要因Aの各水準における,要因Bの単純主効果の数式。

同じく例を青字であげたが,例えばa1におけるBの単純主効果を検討したい場合,板書04-03の平均値の表から,a1の行にある平均値に基づいて計算していく。こちらの自由度は,Bの水準数マイナス1となる。

青ざめなくてもExcelで計算するんだから心配する必要はないのだ。

 

さて,その後は……

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統計法3 板書04-05

平均平方MSの計算。各水準のSSを自由度で割る。

※自由度(p-1)は,先ほどの板書では要因Aの水準数との関連で(a-1)になってます。自由度(q-1)は要因Bの水準数との関連で(b-1)になっています。申し訳ない。

各水準の単純主効果は,それぞれFの値を計算することで検定できる。F値は,単純主効果で計算した平均平方MSを分子,メインの分析で用いた誤差項MSwを分母に用いて比を計算する。

「分子自由度」「分母自由度」はわかるね。計算できたら,Fの表を見て,有意かどうかを判定しよう。

 

とりあえず ひとくぎり 

 

<教科書>

小塩真司  (2018).  SPSSとAmosによる心理・調査データ解析:因子分析・共分散構造分析まで 東京図書

<文献>

森敏昭・吉田寿夫(編著)  (1990).  心理学のためのデータ解析テクニカルブック 北大路書房

山内光哉   (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社

 

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心理学統計法3 第4回 (1)

はい,こんにちは。 

2要因分散分析のつづき。

前回はメインの分散分析を行った。そして,交互作用が有意であった。

今回は,交互作用とは何か?についての説明から。

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統計法3 板書04-01

交互作用を,言葉で説明すると,板書の通りとなる。

青字で書いたところが例としてあげたものだ。

心臓病の薬を服用している際に,グレープフルーツを食べてはいけないと言われる。このような「食い合わせ」と言われているものが,交互作用の例となる。

単純な2要因として,要因A:心臓病の薬(なし・あり) × 要因B:グレープフルーツの摂取(なし・あり) を考えてみよう。従属変数は,心臓病関係の指標……よくわからんが……を考えよう。

グレープフルーツの摂取がない場合には,心臓病の薬あり条件(服用)は,薬なし条件(服用しない)よりも,心臓病の治療に効果があることだろう。

しかし,グレープフルーツの摂取がある場合,心臓病の薬あり条件は,薬なし条件と比べて,心臓病の治療に対して妨害になることだろう。

というように,一方の要因の効果が,他方の要因の水準ごとに異なっているというのが,交互作用ということだ。

実際にグラフで見てみよう。わかりやすくするために線でつないだグラフにした。

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統計法3 板書04-02

要因Aも要因Bも2水準の,2×2の再単純な要因計画を考える。

板書の(1)~(3)の上半分は,交互作用のないグラフのパターンだ。

(1)の場合は,主効果も交互作用も有意ではない……研究失敗ですね。

(2)の場合は,要因Bのみ主効果が有意であり,交互作用が有意ではない……(4)のような交互作用を研究計画としては狙っていたが,交互作用が有意ではなかったパターン。

(3)の場合,要因A,要因Bのどちらも主効果は有意であるのだが,交互作用が有意でない……要因AとBの関連がなかったということです。2回の実験を1回にまとめただけなので,実験計画としては失敗の部類に入ります。

 

板書(4)~(6)の下半分は,交互作用のパターン

(4)の場合,Bのみ主効果が有意,a1とa2とでグラフの傾きが違うので交互作用が有意である……Bの効き目がa1とa2とで違うということだね。

(5)の場合は,要因A,要因Bのどちらも主効果が有意,交互作用も有意である……要因Bはa2にのみ効果をもたらすというパターンがこれ。

(6)の場合,要因A,要因Bのどちらも主効果は有意ではないのだが,交互作用だけが有意である……要因Bの効き目がa1とa2とであべこべになっているということだ。

 

2要因以上の実験計画を組んで研究を行う場合,交互作用が有意になるように要因を選ぶのが非常に重要であり,実際にデータで交互作用が有意であるものが研究成功ということになる。2要因間の関係のしかたが明らかになるからだ。つまり,(1)~(3)では,せっかく選んだ2要因なのだが,要因間の関係がよくわからない……要因間の関係がないのかもしれないし,あるのかもしれないけれど,有意ではないから不明瞭なんだね。

 

交互作用が有意である場合には,主効果に関するデータの解釈は後回しになる。(5)のようなパターンの場合には,要因A,要因Bのどちらも主効果は有意なのだが,a1では要因Bの効き目はないし,b1では要因Aの効き目がないことになるので,主効果が有意である結果を解釈しても,データ全体を説明していないことになる。

 

ラストの話は,具体的に卒業研究で,研究計画を立てて,実際に研究を行って,論文を書いていく際に必要になるから覚えておこう。

 

とりあえず ひとくぎり 

 

<教科書>

小塩真司  (2018).  SPSSとAmosによる心理・調査データ解析:因子分析・共分散構造分析まで 東京図書

<文献>

森敏昭・吉田寿夫(編著)  (1990).  心理学のためのデータ解析テクニカルブック 北大路書房

山内光哉   (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社

 

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心理学研究調査法 第4回 (2)

つづきです。評定尺度の回答選択肢には,何パターンかあります。

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研究調査法 板書04-02

まずは,「自分にあてはまる」系です。チームごとにテーマにした「○○尺度」では,1つを除いて,すべてこの系統の評定尺度となっております。

詳しくは板書を見てください。「自分にあてはまる」系は,「どちらともいえない」を含む奇数件法が多いです。

 

次が,態度系です。態度系はYes-Noの態度をきいているため,「どちらともいえない」を使わないために,偶数件法になることが多いです。「対人依存欲求尺度」のみ態度を訊く評定尺度になっております。

 

3番目が頻度系です。板書の通り,行動を行う頻度を訊きます。これは偶数件法でも奇数件法でもかまいません。

 

チームごとに考えた質問項目は,チームごとのテーマになっている「○○尺度」の評定尺度とは異なるものを使いましょう。その方が,相関係数を分析して考察することに重点が置けるようになるからです。

「対人依存欲求尺度」は態度系をきいていますから,「自分にあてはまる」系か頻度系をきく。これはチームで決めてください。

それ以外の残りの尺度がテーマのチームは,態度系か頻度系をきいてください。

 

調査結果がうまくいくかどうかは,チームで考えた質問項目にかかっています。チームごとに,ユニークな質問項目を考えていきましょう。

 

本日の授業の紹介はここまで。

ありがとうございました(_ _) 

 

<教科書>

小塩真司・西口利文(編)  (2007).  質問紙調査の手順(心理学基礎演習Vol.2) ナカニシヤ出版

 

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心理学研究調査法 第4回 (1)

はい,おはようございます(_ _) あるいは こんにちは(_ _)

チームごとに設定したテーマ「○○尺度」の紹介を行うプレゼンテーション,うまくできましたでしょうか?

 

さて,本日も,チームで行ってもらいます。

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研究調査法 板書04-01

自分たちのチームで,質問項目を作ってもらいます。

チームで用いる「○○尺度」との相関を検討するものになります。

「○○尺度」の中の質問項目の内容とは,かけ離れた質問内容を考えてください。

たとえば,攻撃性の質問紙だったら,まったく内容の異なる質問「甘いものが好きである」などと訊く質問項目を考え出してください。

最終的に,チームで5問程度を使いますが,まずはチームのメンバーが1人10問程度,質問項目を箇条書きして,多くの候補の中から選別していきます。

 

チームの中で,共通の評定尺度を使います。

例をあげましたが,チームの中で(4:そう思う,3:ややそう思う,2:ややそう思わない,1:そう思わない)という4件法で評定する場合には,その4件法で回答できる質問項目を考えることになります(例:交通ルールを守るべきだ。)

質問項目は単文がよいです。

教科書7章「尺度項目を作る」を要約する課題を出しましたので,よく読んで質問項目を考えてください。

49ページ「項目作成の際の注意点」のところを特によく読んでください。
 意味が複数ある項目は避ける
 並列表現を避ける
 二重否定になる項目は避ける

ということに,注意しながら,共通の評定尺度の回答選択肢と,きちんと呼応する質問項目を作りましょう。

チームの評定尺度は,4件法あるいは5件法にしてください。このあたりは教科書51ページを読んでください。多すぎると,質問紙に回答しにくい(そもそも,質問紙を読みにくい)のです。

とはいっても,チームごとに設定した「○○尺度」の「○件法」は,7件法や6件法のものもあります。こちらは,その件法をその通りに使ってください。

 

とりあえず ひとくぎりです。 

 

<教科書>

小塩真司・西口利文(編)  (2007).  質問紙調査の手順(心理学基礎演習Vol.2) ナカニシヤ出版

 

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心理学基礎実験実習1 第3-4回 (4)

つづきです。

3.文体:できるだけ3人称の表現を行う

3人称表現,つまり1人称の「わたしは……」「わたしたちは……」などを使わずに表現するということであります。

どうしても使わざるを得ない場合に「著者は……」などと書く。

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実験実習1 受動態 受身形

ごらんのように,3人称表現を行うために,受動態・受身形の表現を使うこともよくある。

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実験実習1 目的の記述

目的を持っているのは人で,このレポートでは著者(たち)なんだが,それはわかりきっている話なので,第2段落の目的の記述については,「わたし(たち)……」を排除して書いている。

研究対象 object を客観的に objective 記述するということです。心の話は,どこまでも1人称の主観 subject が主観的に subjective 表現できてしまうため,歯止めがないと,単なる「下衆の勘繰り」になる。文体の問題だけではないけど,心理学は,どこかで客観性を担保しておく必要があるんだ。

 

4.事実を書く,事実に基づいて書く

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実験実習1 あんまり認めたくはないが

レポート・論文は事実を書くことが重要だ。方法のところ,この実験参加者と有効回答数については,ボクもあまり書きたくなかった。……この有効回答率では,データとして,信頼に足るものではないからだ。これだけで,研究としてダメダメという感じだろう。……でも,事実は事実として受け止める,というのが科学なんだよね。データの捏造はもってのほかだけど,それ以上に,研究の計画・データ収集・データ分析・結果の解釈……などで心理学の研究は,ここ10年ほど批判にさらされ続けている。(このレポートの分析のT検定も,実は分析としては不適切なのではないか,とも批判されている。)

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実験実習1 結果を見ているか?

下半分の考察部分が,今回のレポート課題になってくるわけだが,オンラインの授業では「考察は感想ではない」と言った。

で,そうなんだけど,感想を書かない場合に学生さんがよく陥りがちな誤り。「まとめ」を書いてしまうこと。「今回の研究では,理想自己が現実自己よりも外向的であったが,より一般的にはたいして違いはないものと思われる。」みたいなことを書いてしまう。

結果の表や,分析の結果を見ないで,関連づけずに単独で書いてしまうのが誤り。あくまで考察は,今回の実験結果を考察するものであり,一般論を書くところでもないのだ。結果の数値を見よう。統計的にはどちらが大きかったのかを見よう。その差が何から生まれてきたのかを,考えよう。

あくまで事実に即して,なぜその事実になったのかを考える,のが考察なのであります。

「人それぞれ」とか書いて逃げるのもなしだよ。そんなの,心理学では,当たり前なんだわ。それぞれの中身がどう違うかを,それぞれ具体的に記述・説明していくのが心理学なんだから,「人それぞれ」を使って変なまとめ方をしてしまうのもやめよう。

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実験実習1 プロフィールという事実に基づく

実験参加者自身の結果を考察する際にも,プロフィールを例のように書いて……逆転項目を得点化して,2点が外向的,0点が内向的というように得点化した後の点数だよ……不一致の項目,一致の項目を見いだすのが重要だ。

 

まずは書いて提出……だね。

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実験実習1 ステープラー

左上を留める,と何度言っても,右側を留める学生がいたりする。文字横書きの本の綴じ方と置き方を,よく見ておいてほしい。

留める箇所も紙の端に近い方がよい。(このレポートでは違うけど……ビジネス系の書類だと,後でパンチで穴をあけてファイルするのね。ファイルしたときに,留める場所が紙の中心に近いと,留めた場所が邪魔で,ファイルしたまんまで開けなくなるのよ。)

ときどき……外向性-内向性の性格テストよりも,提出された課題のありようで性格を測定できるのではないか……と思うことがある。

 

それでは。本日の授業はおしまい。

ありがとうございました。

 

<教科書> 

木下冨雄・上里一郎・中谷和夫・難波精一郎・辻敬一郎  (1975 / 2018).  教材心理学[第4版] ナカニシヤ出版

 

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心理学基礎実験実習1 第3-4回 (2)へもどる

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心理学基礎実験実習1 第3-4回 (3)

続きです。

2.句読点,段落,文体,使う記号もきまりごとがある。

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実験実習1 句読点の設定

句読点にも設定があります。句点はまる「。」,読点はカンマ「,」です。日本語入力の際に,句読点を設定するには,画面右下,日本語入力の「あ」と書いてあるところを右クリックすると,コンテキストメニュが出てきます。そこで,「プロパティ」を選択します。

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実験実習1 Microsoft IMEの設定

Microsoft IMEの設定」(IMEは日本語入力装置の略称)が出てきますので,ここで「詳細設定」を選択します。

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実験実習1 句読点を選ぶ

Microsoft IMEの詳細設定」が出てきますので,「句読点」のところで,「,。」を選んでください。(タッチタイピングを覚えていくと思うので,「ローマ字入力」,全角スペース・半角スペースの区分は大切なので,スペースの入力は「入力モードに従う」,……あとボクはATOKのキー設定に慣れているのでキー設定を「ATOK」にしていますが,これはお好みで。)

 

次です。

みなさん,最初に段落の書き方を間違います。いま,このブログでは,モニター画面で見やすいように,行間をあけて,左詰めで書いています(メール等でも行間をあけて,左詰めで書くことが多いです)。しかし,レポート・論文の作法は違います。

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実験実習1 段落最初は1文字下げる

段落の最初は,1文字分全角スペースを入れて,段落のはじまりを示します。「1字下げ」といいます。作文用紙の使い方と同じです。段落は見出しの下の意味のまとまりを示すので,1文で段落を作らずに,複数の文の意味のまとまりで,1段落を作ります。

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実験実習1 段落の間は詰める

段落どうしの間は,改行マークを入れずに,詰めて書きます。改行マークを入れて,間をあけがたる方が多いですが,レポート・論文では行わないでください。

 

次は数字,引用符,かっこ(括弧)です。

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実験実習1 引用符はクオーテーションマーク,数字は半角

数字は半角を使ってください。「第二に」など熟語等になっている場合には除きます。緑色の蛍光ペンで塗ったところがそうです。

このブログでは引用符に「」を使っていますが,レポート・論文の引用符は,全角のダブルクオーテーションマーク(“”),その中にさらに引用するときは,全角のシングルクオーテーションマーク('’)を使います。日本語配列キーボードの場合,ダブルクオーテーションは「Shift+2」の同時押し,シングルクオーテーションは「Shift+7」の同時押しで出てきます。

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実験実習1 かっこ 括弧は半角

かっこ 括弧は半角を用います。(途中に全角のものがありますが,考察の際に消すところに使っています。)

 

次は,論文全体の文体の話です。文体は「~だ。」「~である。」の文体にします。(「~です。」「~ます。」

最初のレポートでは,詩的言語を用いてレポートを書く学生が多いですが……
 (1)主語・述語を明確にした文を書く。
 (2)体言止めしない。(例:「このような俺の空。」
 (3)倒置法を使わない。

 

論文は,「目的」「方法」「結果」「考察」「文献」という大見出しの部分から成り立ちます。このレポートでは,「目的」「実験」「結果と考察」「文献」という大見出しの部分に分けました。

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実験実習1 目的のところは現在形で書く

レポートの書き出し,冒頭部の目的のところです。現在形で書きます。目的のところは,「方法」や「結果と考察」の前に,これから研究を行う,ということを主張するところのため,未来を示す感じの現在形で書きます。

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実験実習1 方法のところは過去形で書く

実験(調査その他)の「方法」のところの本文は,過去形で書きます。すでに実験(調査)データの収集を完了していて,レポート・論文を書いているわけですから。

なお,レポート・論文は,冒頭部から書き出すのではなく,「方法」のところから書き出すと効率よく書けます。特に,すでに実験や調査を終わっている場合には,単純に事実関係を書けばよいので,「方法」のところから書き出すのがベストです。(冒頭部から書こうすると,書き出せなくて,いつまでも手つかずのまま放置されることが多いです。)

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実験実習1 結果・考察は過去形で書く

このレポートでは「結果と考察」と1まとまりにしていますが,「結果」も「考察」も過去形で書きます。

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実験実習1 文献

「文献」あるいは「引用文献」という見出しを使います。レポート・論文内で,引用した文献の情報を,第1著者の苗字アルファベット順に記します。レポート・論文の非常に重要な構成要素の1つです。

文献の引用のしかたは,実験実習の別の課題でテーマにしますので,今回はこれ以上触れません。

 

ということで ひとくぎりです。

 

<教科書> 

木下冨雄・上里一郎・中谷和夫・難波精一郎・辻敬一郎  (1975 / 2018).  教材心理学[第4版] ナカニシヤ出版

 

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心理学基礎実験実習1 第3-4回 (2)

さて,それで……みなさんにレポートを書いてもらおうというわけなんだが……

他の大学みたいに,ティーチング・アシスタントの支援が豊富に得られる環境ではないために,レポートの書き方を知らないみなさんに,いきなり,真っ白な状態で「書け」とはいえないです。

そんなわけで,この心理学基礎実験実習1,後期の心理学基礎実験実習2の中で課すレポートの中で,テーマを設けて,1年間かけて,レポートの書き方を学んでいこう,という,ステップ・バイ・ステップの方式にした。

まず1回目のレポート課題のテーマは,まずは考察のところで,レポートの文章を書いてみよう!というものだ。

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実験実習1 ほとんど書かれているレポート……

ご覧のように,レポートの表紙も含めて,ほとんどの部分を,ボクが書いている。みなさんは,虫食いになった部分……考察……のところを,書いてもらいます。

その前に,レポートの重要なところを,ひととおり話します。その後に内容の話をします。

 

1.レポートは様式美:見栄えが重要

お稽古事は,お作法がきっちりと決まっております。それと同じで,レポートは,何よりもまず,様式・書式が重要です。見かけより中身……と よく言われるが,見かけが整ってないと,中身すら検討されないのが世の常。

ここでの見栄え・見かけ,とは,まず,レポートの書式のことを指し示しております。

まず,ファイルを開く際に,必ずMicrosoft Wordを使ってください。(本学 甲子園大学の学生の場合,Microsoft Office(Word)をダウンロードできます)

廉価のWord互換ソフトだと,すべての書式やフォントを勝手に設定しなおしてしまいます。

次に,ファイルをデスクトップ等にダウンロードしたら,ワードのアイコンをダブルクリックして,Microsoft Wordを起動させてください。

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実験実習1 レポートの書式

1ページをまるごと表示させてみました。表紙の次のページです。用紙はA4です。余白,文字数,行数もすべて設定しております。設定の確認をする方法は……

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実験実習1 余白の書式

まず「レイアウト」タブの「ページ設定」の右下の黒い部分をクリックしましょう。そうすると「ページ設定」というダイアログボックスが表示されます。

ここでまず,「余白」タブから余白の確認をします(余白の確認を先にしないと,文字数と行数が変わってしまうから)。上下左右,すべて30mmです。設定対象は「文書全体」になっているはずです。そうなっていない場合は,設定しなおしてください。次に

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実験実習1 文字数と行数の確認

「ページ設定」のダイアログボックス「文字数と行数」タブをクリック。文字数と行数を設定するのラジオボタンが押されていることを確認し,文字数は40(1行あたり),行数は30行という設定になっているかを確認します。そうなっていない場合は,設定しなおしてください。次に,「フォントの設定」をクリックすると

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実験実習1 フォントの設定

これは本文全体のフォントの確認です。日本語用のフォントが「MS 明朝」,英数字用のフォントが「Times New Roman」になっており,サイズが「11(ポイント)」になっているはずです。

レポートのフォント(活字)は非常に重要です。文字数を設定するために重要だからです。「MS 明朝」の他に「MS P明朝」というのがありますが,「P」というアルファベットがついているフォントを使うと,1行の文字数がおかしくなります。(※「P」はプロポーショナルフォントの略で,文字ごとに文字の幅が異なっていて,たいへん読みやすくなるのではあるが,レポート・論文等の文字数や行数の書式が決まっている文章においては,使えないのです。「P」のついていないフォントは,等幅フォントといい,どの文字も幅は同じです。)

これらの書式は,本学の卒業研究の論文書式とも同じですので,今から使って慣れていきましょう。

 

次に見出しも重要です。

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実験実習1 見出しのレベル

見出しには上位-下位のレベルがあり,それぞれ,より大きいまとまり~小さいまとまりを示します。見出し以下の本文のまとまりは,段落-文-文節-単語,となります。

このレポートでは3レベルの見出しを使っています。本文とフォントを変えています。
 (1)大見出し:見出しだけで改行,真ん中に揃える
 (2)中見出し:見出しだけで改行,左に揃える
 (3)小見出し:段落内の見出し

見出しの設定を確認しましょう。大見出し

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実験実習1 大見出しの設定

「実験」と書いてあるところを選択,「ホーム」タブから,「段落」というところの右下の黒い部分をクリックすると,「段落」というダイアログボックスが表示されます。

段落前と段落後の間隔を「0.5行」あけています。

中見出しは

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実験実習1 中見出しの設定

段落前だけ「0.5行」あけています。

小見出しは特に段落設定はしておりません。そこで見出しのフォントを確認しましょう。

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実験実習1 見出しのフォントの設定

小見出しになっているところを選択します。「ホーム」タブの「フォント」の右下黒い部分をクリックすると,「フォント」というダイアログボックスが表示されます。これで,選択した部分のフォントを設定できます。

フォントは,日本語用「MS ゴシック」,英数字用「Arial」となっており,サイズは11ポイントになっております。大見出し,中見出しも同じフォントです。

作業をしている際に,注意すべきことがあります。

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実験実習1 表示を小さくすると……

(a) ごらんのように,横長画面のディスプレイの場合,表示を小さくして,2ページまるごと見えるように編集するのが好きな方がおります。

表示を小さくすると,本文のフォントと,見出しのフォントの違いが,わかりにくくなるのです。フォントが違うのに気づかず,印刷した後に後悔することも多いです。

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実験実習1 改行マーク

(b) みなさんのMicrosoft Wordでも,緑で○をした改行マークが表示されていると思います。この改行マークのところで,エンターキーを押して改行すると……

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実験実習1 前の段落の設定が引き継がれる

前の段落の設定が引き継がれてしまいます。ここでは,大見出しのところを改行したので,大見出しの段落設定とフォントが引き継がれてしまいました。あとで文章を書き足すところは,本文の段落設定において,エンターキーを何度も押して,あらかじめ改行マークを入れておく必要があります。

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実験実習1 このあとに続けて入力すると……

(c) カーソルが見えないので,選択しておりますが,小見出しの活字が変わった部分に,本文を書こうとして続けて入力しますと……

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実験実習1 直前のフォントが引き継がれる

直前のフォント設定が引き継がれて入力されます。まったく気にしないでレポートを提出してしまう学生がいますが,活字の違いには,もう少し神経質になってほしいです。後から見出しだけをフォント設定しなおすと,効率がよいです。

今回は,以降も,こんな細かい話ばっかりです。

「ちっさいな~」と言われても,レポート・論文は「ちっさいこと」が重要なのです。「神は細部に宿る」と言われますしね。

 

ということで ひとくぎり

 

<教科書> 

木下冨雄・上里一郎・中谷和夫・難波精一郎・辻敬一郎  (1975 / 2018).  教材心理学[第4版] ナカニシヤ出版

 

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心理学基礎実験実習1 第3-4回 (1)

はい,おはようございます(_ _)

今回は,データの分析結果を紹介し,レポートの執筆について説明していきます。

残念ながら,現実自己条件のデータ・理想自己条件のデータの2つが揃わないと,分析対象にできないんだ……だから,何らかの事情で有効回答にならなかった学生の分は,分析から除外しました。

そうすると,両条件が有効回答であったのは49名だった。

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実験実習1 平均と標準偏差(とT検定の分析)

現実自己条件の平均値は15.86,理想自己条件の平均は27.35だった。標準偏差(SD)という散らばり具合を示す指標は,それぞれ,9.38と5.97でした。平均値や標準偏差については,心理学統計法1で詳しく話すので,ここではこれ以上触れない。

右側にある数値は,T検定という,2つの条件の平均値の間に,統計的に有意な(統計的に意味のある)差があるかどうかを計算している。1人の人が条件すべてに参加して,2つのデータを収集するという,実験参加者内条件(被験者内条件)なので,差および差の2乗が途中の数値として算出されている。最終的にTの値は20.69だった。これは,統計的に意味のある差であった(有意差があるという)ため,49名全体の傾向としては,「理想自己条件においては,現実自己条件においてよりも,より外向的な評定が行われる」ということになる。

多くの学生において,理想としている自分の性格は,現実の自分自身より外向的ということだね。

 

それでは,現実自己条件・理想自己条件の平均値と標準偏差を,レポートの表に記入しよう。

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実験実習1 レポートの表に平均値と標準偏差を書き込もう

レポートの4ページに,表1というのがある。表のフォーマットはすでに作ってある。ヨコ罫線だけ印刷されるようにして,タテ罫線は印刷されないようにしている。表のタイトルは表の上,最後の(SD)というのは,かっこ内に標準偏差を示す,という意味だ。

各条件の見出しの下にある,アスタリスクを消して,半角の数字で,平均値をかっこのない上の部分に,標準偏差をかっこ内の下の部分に打ち込もう。レポートの書式については後で話すけど,数字やスペースの全角・半角の違いは,とっても重要だよ。

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実験実習1 数値を書き込んだ後

数値を書き込みました。論文・レポートでは,平均値や標準偏差の数値は,小数点以下第2位までを算出し,第3位以下を四捨五入するのが ならわしとなっている。

いちばん下の注にn=49とあるのは,有効回答だった実験参加者の人数ですね。

 

ということで ひとくぎり

 

<教科書> 

木下冨雄・上里一郎・中谷和夫・難波精一郎・辻敬一郎  (1975 / 2018).  教材心理学[第4版] ナカニシヤ出版

 

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心理学統計法1 第4回 (3)

続いて,教科書49ページ。

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統計法1 板書04-06

度数分布表をグラフにしたものを,度数分布といいます。文字通り。

独立変数が質的データ,従属変数が度数の場合には,板書の通り,グラフの棒と棒のあいだを離して描きます。 例えば,都道府県別に度数を示す場合には,質的データの場合ということになります。

独立変数が量的データの場合には,ヒストグラムというグラフを作ります。

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統計法1 板書04-07

ヒストグラムは 別名 柱状図ともいいます。「ヒストグラフ」ではないので注意。

ちょい拡大すると

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統計法1 板書04-08

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統計法1 板書04-09

ヒストグラムの度数は,板書の通り,横軸の幅×柱の高さ であり,面積で度数を示すことになります。量的データを,階級(区分)に分けて度数を作り,それをグラフ化するわけですから,棒グラフの すき間を作らずに棒をくっつけるのが重要です。

階級(間)の幅については,前回の授業でもお話ししましたが,できれば一定の数値の幅であることが望ましいです。 

教科書には書いてありませんが……

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統計法1 板書04-10

厳密にいうと,ヒストグラムの棒は,階級の区切りきっかりのところから(タテの)線を出すのではなく,少しズレたところから出すことになっています。

なぜかというと,データとして得られた観測値は,四捨五入された値のため,階級の境目の値の場合,どちらの階級(区分)に属するか,微妙なところがあるからです。

例えば,板書のヒストグラムでは,0以上10未満のデータ,10以上20未満のデータ,20以上30未満のデータを階級(区分)に分けています。

このとき,データの観測値

として20という値があったとき,これは20以上30未満の階級(区分)に含まれ,度数にカウントされるのではありますが……値を四捨五入していると考えると,観測値は実は19.5かもしれない,というわけです。

四捨五入している値の,真に取り得る範囲は,真の下限域~真の上限域の間(上記の例では,19.5~20.4)ということになるために……

ヒストグラムの階級においても,階級(区分)の一番小さい値の真の下限域のところから線を出すことが望ましい,となっているわけです。

さらに,教科書の問題にあるように,オープンエンドの区間については,省略マークをつけるのがきまりごとになっております。 

ヒストグラムは,今回の課題を行って,その作り方に慣れましょう。 

 

本日はこれでおしまい。

ありがとうございました(_ _) 

  

<教科書>

稲葉由之  (2012).  プレステップ統計学Ⅰ:記述統計学 弘文堂

 

<文献>

山内光哉  (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社 

 

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心理学統計法1 第4回 (2)へもどる

 

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心理学統計法1 第4回 (2)

(1)にて構成比グラフについて話しましたが,次は構成比グラフのパーセントのもと,相対度数について。 教科書46ページ。

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統計法1 板書04-03

相対度数とは,総数を1(100%)として割合で度数を示したものです。やっぱりわかりにくいので,教科書の例を載せます。

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統計法1 相対度数の例(教科書46ページ)

ごらんの通り。相対度数に100を掛け算するとパーセントになります。 

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統計法1 板書04-04

教科書の相対度数の例からも明らかなように,相対度数の和は1(×100=100%)となります。 

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統計法1 板書04-05

累積相対度数というのもあります。 やはり,教科書で例を示すと……

 

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統計法1 累積相対度数の例(教科書48ページ)

この例の場合では,年収の200万円未満から,度数を積み上げて足し算していって,(累積)相対度数を算出しています。

板書しましたが,累積度数や累積相対度数を算出しておくと,「年収600万円未満は全体の何パーセントか」,患者数の統計などでの「○○日以前の患者数は全体の何パーセントか」などが1目ではっきりとわかるので,便利です。もちろん,累積させる目的が 「お金持ちを探す」ことであるなら,教科書の例では,年収1500万円以上から年収の低い順に累積させるとよいでしょう。

累積度数や累積相対度数は,独立変数の階級(区分)がひと続きである必要があります。独立変数が順序尺度以上(間隔尺度・比率尺度含む)ということです。

 

とりあえず いったん区切ります。 

 

<教科書>

稲葉由之  (2012).  プレステップ統計学Ⅰ:記述統計学 弘文堂

 

<文献>

山内光哉  (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社 

 

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心理学統計法1 第4回 (1)

はい。こんにちは(_ _) 

4回目はじめましょう。教科書42ページ。 

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統計法1 板書04-01

図 Figureの扱い。グラフ・画像・イラストなどをレポート・論文に入れる際には,図となります。図もレポート・論文の最初から通し番号をつける。

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統計法1 グラフの例(教科書45ページ)

板書だけではわかりにくいので,教科書のグラフの例を掲載しました。 

(1)図の題目は,図の下(いちばん下)に書く。

(2)グラフの軸は,独立変数側の軸,従属変数側の軸があります。例の通りに,独立変数側の軸には変数名などを書き,従属変数側の軸は指標の単位を書きます。

(3)凡例 はんれい と読みます。どの色・印が何を示しているかを記述したものです。

(4)統計データの出所・出典,注などを図の下に記します。

図に関しては,意外に,この決まりごとを守れないものが多いですね。特に,Microsoft ExcelPowerPointでグラフを作ると,デフォルトの設定で図のタイトルが,図の上に設定されてしまうため,そのまんま掲載してしまったりとか……。

また,教科書では,2色カラー刷りになっているため,凡例を色分けしておりますが,基本は白黒でわかるようにグラフを描くことになっております。

 

では次。

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統計法1 板書04-02

割合 パーセントで示したグラフを構成比グラフといいます。構成比グラフの例は,このページ内の教科書の図がそうです。構成比グラフは,単に○%と書いても,人数や全体の規模がわからないという欠点があります。10人のうちの70%……7名と,1000人のうちの70%……700名とでは,数の桁がずいぶん異なってきますね。

そこで,このページ内で掲載している教科書の図は,独立変数側の軸,最終学歴の区分のそれぞれに,人数の規模を記すn=が記されております。軸のどこかに,度数が示されることで,人数や全体の規模がわかるようになるため,構成比グラフを描く際には,用いる必要があります。

とりあえず ひとくぎり 

 

<教科書>

稲葉由之  (2012).  プレステップ統計学Ⅰ:記述統計学 弘文堂

 

<文献>

山内光哉  (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社 

 

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心理学統計法3 第3回 (4)

仮説検定をまとめよう。

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統計法3 仮説と仮定

新しいExcelシートを作って書いてみたが,あまり見栄えがよくない。論文やレポートのきまりごとでは,数学記号は斜字体(イタリック)で書くので,気になる方はフォントを直す。

帰無仮説H0と対立仮説H1の書き方は,板書で示した通り。要因Aは2水準なので,対立仮説は記述の通り≠で結ばれることになる。

仮定については,被験者間条件なので,無作為かつ独立に抽出ということが原則。

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統計法3 決定のルール

有意水準1%で決定のルールを決めよう。分子自由度,分母自由度はすでに計算した。配布のFの表を見て,臨界値を調べる。そうすると記述した通りとなる。

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統計法3 計算と決定

※あれ?さっき(3)の計算結果とあわない……ちょっとこの画像待っててね。

※※(2020.05.14.)(3)の計算が誤りでした。こちらが正解

計算と決定のところ。計算のところは,分散分析表を作り,これにまとめる。小数点以下第2位までを表示にまとめると,小数点が揃うので見栄えがする。帰無仮説を棄却するべきF値があれば,アスタリスクをつけて,表下部に注釈を入れよう。 

 

ということで,今回の課題は完成。

授業もおしまい。

ありがとうございました(_ _)

 

<教科書>

小塩真司  (2018).  SPSSとAmosによる心理・調査データ解析:因子分析・共分散構造分析まで 東京図書

<文献>

森敏昭・吉田寿夫(編著)  (1990).  心理学のためのデータ解析テクニカルブック 北大路書房

山内光哉   (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社

 

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心理学統計法3 第3回 (3)

それでは,これまでの計算をExcelで計算してみよう。

PC持っていない学生は,大学に通えるようになってからやってみて。

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統計法3 今回のスタート(前回のこたえ)

前回のこたえまで出したところ。

今回はまず,

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統計法3 計算式の見出し(こたえを出すところ)を作る

こんなふうに,計算式の答えを出すところでも作ろうか。(見出しになった文字,Σマークは,日本語入力オンで「しぐま」と入れると出てくる。あとは半角数字・記号で,2乗マークは「フォント」から上付き文字を設定)

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統計法3 (1)の式

計算式(1)のExcelでの式,わかります?分子部分の()のところは,総和の2乗ですよ。分母の()内の掛け算は,このデータでは,要因Aの水準数が2,要因Bの水準数が3,各セルの被験者数が5だからだよね。

※分子にも分母にも()を使っておかないと,計算順序が変わってしまって,出てきたこたえが,おかしな数値になってしまうから注意。

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統計法3 (2)の式

(2)は,データの総2乗和だ。SUMSQという関数を使おう。日本語入力オフにして,直接タイプで入力する方が早いぞ。半角かっこ「=SUMSQ(」まで入力したら,マウスで,データ全体をドラッグして範囲指定。そのままエンターキーでも かっこを閉じてくれる。アルファベットの大文字・小文字は気にしなくてよい。

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統計法3 (3)の式

せっかくだから,(3)の式もSUMSQ関数を使おうか。要因Aの各水準の和の2乗 の和だから,分子はこうなるよね。分母は,先ほども説明した通り。

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統計法3 (4)の式

(4)の計算はこうなります。今度は,要因Bの各水準の和の2乗 の和 が分子。分母は,先ほど説明した通り。

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統計法3 (5)の式

(5)の式はごらんの通り。

(1)~(5)まで,AB集計表の中から参照すべきセル番地がわかれば,どうです?簡単でしょう?

 

次,平方和ね。平方和の見出しを作ろう。

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統計法3 平方和の見出し

 こんどは下付き文字の設定。上付き文字の設定と同じだが……

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統計法3 下付き文字の設定

まず,変更したい文字を選択する。「ホーム」タブ「フォント」の表示の右下の黒いところをクリックすると,画面のようにダイアログボックスが表示される。そのときに,「文字飾り」のところで,「下付き」のチェックボックスを入れると(乗数の場合には「上付き」のチェックボックスを入れると)表示の通りになる。

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統計法3 平方和の計算

平方和の計算はわかるよね。「=」を入れて,該当の数値のところをクリック,「-」を入れて,引く数の数値をクリック。他のところも同じ。

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統計法3 いちおう検算

検算しているところ。左隣のセルSSTの数値と合致すれば,とりあえず計算はうまくいっていることになる。

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統計法3 計算する数値の見出し

計算する数値の見出しを一気に記入してみた。

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統計法3 自由度の計算

自由度の答え。右隣には計算式を表示した。

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統計法3 平均平方の計算

※ごめん。この割り算の参照先がちがうわ……写真変更するから待ってて。

※※【訂正】(2020.05.14.)ということで画像変更した。

平均平方の計算。それぞれの平方和をそれぞれの自由度で割る。

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統計法3 F値の計算

さて,Fの値の計算。主効果・交互作用の各平均平方を,誤差項wの平均平方で割る。1個1個割り算してもよいが,分母が同じ数値なので,「$」マークを入れて絶対参照でオートフィルしようか。

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統計法3 オートフィルしているところ

オートフィルしているところ。選択したセル右下の 小さい■マークにマウスを近づけると,黒い十字のカーソルが現れる。そこで左クリック押しながらドラッグだ。

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統計法3 計算終了

※このこたえは間違ってます。ごめんなさい。差し替えます。

※※【訂正】(2020.05.14.)こたえの画像さしかえ

計算終了した。

でも,これで終わりではない。

分散分析の仮説検定を一通り書いていこう。

 

これは,次にて。 

 

<教科書>

小塩真司  (2018).  SPSSとAmosによる心理・調査データ解析:因子分析・共分散構造分析まで 東京図書

<文献>

森敏昭・吉田寿夫(編著)  (1990).  心理学のためのデータ解析テクニカルブック 北大路書房

山内光哉   (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社

 

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心理学統計法3 第3回 (2)

続き。

そんなわけで,平方和(SS)と,自由度(df)は以下の通りとなる。

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統計法3 板書03-06

拡大すると,平方和は

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統計法3 板書03-07

青字で書いた平方和の関係は,前回の板書にも書いたよね。自由度は

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統計法3 板書03-08

自由度の関係も,前回の板書で書いたと思う。Nは被験者数の全体。

昨年も言ったけど,分散分析の平方和と自由度は,必ず正の数になるからね。答えが負の数だったら,計算間違い。

あとは,各平方和を,各自由度で割り算して,平均平方(MS)を算出する。

その後,Fの値を求めるには,
 要因Aの主効果は,Aの平均平方を誤差項wの平均平方で割る。
 要因Bの主効果は,Bの平均平方を誤差項wの平均平方で割る。
 交互作用ABは,ABの平均平方を誤差項wの平均平方で割る。

ことになる。それぞれの,分子自由度と分母自由度は,わかるね? 

 

次。仮説について,2要因分散分析では,3組の帰無仮説(H0)と対立仮説(H1)ができる。

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統計法3 板書03-09

要因Aの主効果の仮説は,Aの各水準の母集団の平均値αを用いて記述する。

要因Bの主効果の仮説は,Bの各水準の母集団の平均値βを用いて記述する。

対立仮説は「H0ではない」と書いたが,2水準の場合は,2つの平均値を≠で結ぶことになるね。

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統計法3 板書03-10

AB交互作用の仮説は,A・B各水準の組み合わせとなった各セルの平均値αβを用いて記述することになる。

 

理屈はこんなところ。

次からは,実際にExcelで計算してみようか。

 

<教科書>

小塩真司  (2018).  SPSSとAmosによる心理・調査データ解析:因子分析・共分散構造分析まで 東京図書

<文献>

森敏昭・吉田寿夫(編著)  (1990).  心理学のためのデータ解析テクニカルブック 北大路書房

山内光哉   (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社

 

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心理学統計法3 第3回 (1)

はい こんにちは(_ _)

2要因分散分析。実際に分析の数式を見てみよう。

エクセルで計算するのでビビる必要はない。

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統計法3 板書03-01

板書の通り,(1)~(5)までの計算がある。このとき……

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統計法3 板書03-02

アルファベット小文字の記号:
 小文字aは要因Aの水準数を示す。
 小文字bは要因Bの水準数を示す。
 小文字nは1つのセルの被験者数を示す。

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統計法3 板書03-03

次に,大文字の記号。これは先週作った集計表(AB集計表)からとってくる。2×2の2要因を例にあげたが,一般的には,下記の通りとなる。
 大文字A:要因Aの各水準における和
 大文字B:要因Bの各水準における和
 AB:各セルにおける和
 T:総和

というわけで……2×2の2要因の例の場合にあてはめて,(1)~(3)は

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統計法3 板書03-04

(1)総和の2乗 を Aの水準数*Bの水準数*1セルの被験者数(の積) で割る

(2)すべてのデータの2乗和

(3)Aの1番目の水準の和の2乗+Aの2番目の水準の和の2乗(の和) を 要因Bの水準数*1セルの被験者数(の積) で割る

そして,(4)~(5)は

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統計法3 板書03-05

(4)Bの1番目の水準の和の2乗+Bの2番目の水準の和の2乗(の和) を 要因Aの水準数*1セルの被験者数(の積) で割る

(5)各セルの和の2乗の和 を 1セルの被験者数 で割る

となります。

とりあえず ここまで。

 

<教科書>

小塩真司  (2018).  SPSSとAmosによる心理・調査データ解析:因子分析・共分散構造分析まで 東京図書

<文献>

森敏昭・吉田寿夫(編著)  (1990).  心理学のためのデータ解析テクニカルブック 北大路書房

山内光哉   (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社

 

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