甲子園大学心理学部 授業

甲子園大学心理学部 金敷担当の授業をアップします。

心理学基礎実験実習1 第1-2回 (1)

はい おはようございます(_ _)

授業の正式名称は,心理学基礎実験実習1(心理学実験1)といいます。

長い……書くのも大変です。

 

ブログタイトルも略称を用いていますが,これからは

基礎実験1 とでも略していきます。

 

 

さて,この基礎実験1,これは前期,そして後期の基礎実験2,1年間を通して,心理学の研究というものを,実習を通して学んでもらいます。

学ぶのは,大きく分けて(1)研究の方法・手続き,(2)研究レポート(論文)の書き方,(3)データの分析 になるよ。

簡単な課題からはじめて,1年間を通して,研究レポートが書けるようになる,というのが,この授業の到達点になるかな。

でも,みなさんのほとんどは,研究レポートなるものを,書いたことがない,初心者,ズブの素人,であることでしょう。

いきなり1回目で すべての事柄ができる というわけにはいかない。

そんなわけで,ステップに分けて,何個か続く課題ごとに,そのステップを1つずつできるようにしたいと思う。

ということで,よろしくおつきあいください。

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基礎実験1 板書01-01

さて,心理学の研究 って何をやってるのか?ということを,1回目のイントロダクションとして話していこう。

心理学……心……実は何だかよくわからない。心と呼ばれるなにものかが,ほんとうに在るのか,無いのかもわからない。人に心は確かに存在するのだろうか?

……話はそれるけど,心が無いと困る職業の方々がいる。もっとも困るのは,警察とか,裁判関係の方々。だって,1人1人に心があって,その心が 故意に 何か犯罪をおかしたのか,それとも 誤って 何か事故を起こしたのか,判定できないからだ。……心理学者が食い扶持なくなるって?……心理学者の中には,脳全体の働きを心と見なして,脳の問題として考える人も多いから,別に人に心が無くても,まったく困らないんだわ。

さて,話を戻すと,人に心がないと,個人に責任を問えなくなるんだね。わたしたちの,この社会の中では,人々が「1人1人に心が在る」と見なして生きている。本当に在るか無いかは別にして,こうした「心」という抽象的なものごとを,構成概念と呼ぶんだ。「愛」「絆」なんてのも構成概念だね。

こういう構成概念そのものを,ボクたちは研究対象にできない。目に見えないから。

そこで,心理学は,目に見える,観測可能なものごと,というのに研究対象を限定したんだ。

板書の通り

心理学の研究対象は 行動 behavior だよ。

心理学の研究対象は行動である。これは,大学で4年間,心理学を専門で学んだ証になるから,絶対に忘れないで。

確かに,わたしたちの内面,心の動き,などというものがある。それは,行動ではないかもしれない。

でも,内面や心の動きを,「研究」として考えるならば……研究というのは,何か他人に,社会に示さなければならないわけだから……内面や心の動きを,何らかの形(言葉・絵・身体パフォーマンス等)で観測可能にしなければならない。その観測可能な形という ものごとをもってして,行動の中に,内面や心の動きが含まれてくることになるね。

もう少し詳しく知りたいときには,心理学史を学んでみよう。他の科目の授業で学ぶと思う。

とりあえず ひと区切り 

 

<教科書> 

木下冨雄・上里一郎・中谷和夫・難波精一郎・辻敬一郎  (1975 / 2018).  教材心理学[第4版] ナカニシヤ出版

 

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