こんにちは(_ _)
標準偏差を平均値と組み合わせると,データが見えてくるという話です。
標準偏差SDは散らばりの指標と言いましたが,平均値を原点とした定規の目盛り1つ分としてとらえることができます。
後期「心理学統計法2」で,正規分布という,理論的分布を学びますが……平均値と標準偏差とが算出されると,データを正規分布という型にはめて考えることができます。
板書した通り……
平均値±SDの範囲内に,データ全体の約3分の2が含まれます。
平均値±2SDの範囲内に,データ全体の約95%が含まれます。
平均値±3SDの範囲内に,データ全体の約99%が含まれます。
これらは,必ずそうなるのですね。したがって,平均値±SDという値を算出することで,データ全体の値の範囲をだいたい予測することができるわけです。
さらに個々のデータの相対的位置づけを把握できます。
これが標準化あるいはz値変換と呼ばれるものです。
平均値0,標準偏差1になるように,個々のデータを変換することなのですが,この作業は,正規分布の中でも標準正規分布という平均値0,標準偏差1の分布に変換するということにほかなりません。
データの変換は,個々のデータから平均値を引き算した値,つまり偏差を標準偏差で割る,という計算になります。板書09-02の下部目盛りの通り,z値が正の場合には平均値を超えた値であり,負の場合には平均値未満の値であることを示します。
標準化したz値を,さらに変換したものが,いわゆる偏差値,と呼ばれるものになります。
有名な学力偏差値は,10zi+50で,平均値が50,標準偏差10という正規分布の中で,個々のデータの位置をつかみます。
心理学では,ウェクスラー式知能検査の中での,知能偏差値というものも有名です。この場合には,平均値が100,標準偏差が15という正規分布の中で,個々のデータの位置をつかみます。
それでは ひとくぎり
<教科書>
稲葉由之 (2012). プレステップ統計学Ⅰ:記述統計学 弘文堂
<文献>
山内光哉 (1998). 心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社