甲子園大学心理学部 授業

甲子園大学心理学部 金敷担当の授業をアップします。

心理学統計法1 第7回 (2)

では つづき。

教科書の71ページから

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統計法1 板書07-05

全体において何らかの変化がもたらされたとき,全体を構成する部分の何が関与しているのかを知りたいとき……変化率というのを部分の変化率に分解する必要があります。それが,板書に書いている内容です。

変化率は,後で出てくる寄与度の総和から成り立っています。そして,寄与度とは,項目の変化率と当該項目の構成比の積から成り立っています。

教科書71ページでは,全体の就業者数の変化に,男性就業者数の変化あるいは女性就業者数の変化がどの程度関与しているのかを知るための例となっています。

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統計法1 板書07-06

寄与度については述べました。

寄与率は,全体の変化における寄与度の構成比をいいます。当該項目の寄与度を,全体の変化率で割り算(し,100を掛ける)することで算出できます。全体の変化の寄与率が100%になるのに対して,1項目の変化の貢献具合がパーセントで示されるというわけです。

寄与率の高い項目の変化に,全体の変化が影響を受けているわけですから,統計データを考察する際に,教科書の例ですと,「就業者数の変化は,男性労働者の変化に依存しているところが大きい」と書けるわけですね。

寄与度・寄与率については,問題6-2を解いてみて身につけましょう。

 

同一の測定対象の変化をとらえる,というのは,記述統計において非常に重要な ものの見方になりますね。そして,言葉遣いに注意して表現し,その変化が どこからもたらされたのかを細かく分析することが必要になっています。

今回の話は,さらりと流していますが,統計データを読み取る際には,とても役に立つ見方・考え方なので,頭の片隅に入れておくといいでしょう。

 

今回は,これでおしまい。

ありがとうございました(_ _)

 

<教科書>

稲葉由之  (2012).  プレステップ統計学Ⅰ:記述統計学 弘文堂

 

<文献>

山内光哉  (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社

 

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