さて,教科書61ページ。
平均値の話に戻しましょう。
板書は,データに定数を加減した場合に,平均値がどうなるかという話。
平均値の計算が楽になり,計算の手間が省ける場合もあるため,工夫できるときには実際にやってみましょう。
階級や区分で分類されたデータの,それぞれの平均値と,全体の平均値との関係を,板書は示しました。各階級の平均値に,各階級の相対度数を掛け算して,すべての階級を足し算したものが,全体の平均値となります。
教科書の例題5-2に詳細が書いてあります。実際にやってみましょう。
平均値・中央値・最頻値は,総称を「代表値」といいます。あるデータの分布を代表する値,という意味です。教科書では,代表値を 中心の位置の統計値と書いています。
代表値は,他の統計データの代表値と比較することが容易です。昨年の物価指数の平均値と,本年の物価指数の平均値を比べて,物価が高くなったのか低くなったのかがわかります。
しかし,代表値だけでは,データの1つ1つが,どこまでの値の範囲を持っているのか,それがどのような広がりを見せているのかがわかりません。
この点で,代表値だけではなくて,度数分布表と組み合わせて,データを考える必要があります。度数分布表は,データの1つ1つの分布状況がわかり,量的データの場合には,データがどこまで広がっているのかがわかるからです。
例えば,年収のデータというのは,平均値がかなり歪みます。年収という比率尺度は,無限大に大きくなりえますから,年収0から,年収1億,10億なんて値まで出てきてしまいます。このような場合には,平均値を計算すると,例えば10億というとびぬけた値が,年収0という値を隠してしまうぐらいの平均値になりますね。
そこで,分布の状況を知るために,代表値とともに,度数分布表もあわせて検討する必要があるわけです。
本日の授業はここまで。
ありがとうございました。
<教科書>
稲葉由之 (2012). プレステップ統計学Ⅰ:記述統計学 弘文堂
<文献>
山内光哉 (1998). 心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社