さて,平均値には重要な特徴があります。
平均値からの偏差の和は0になる,という特徴です。
偏差 へんさ というのは……偏差値で有名ですが……各データとある(定数)値との差のことをいいます。たいていの場合,平均値からの偏差のことを略して言っています。
個々のデータの中には,平均値よりも大きい値(平均値からの偏差が正の数)のものもあれば,平均値よりも小さい値(平均値からの偏差が負の数)のものもあります。平均値から離れている値もあれば,平均値に近い値もあります。
これらをデータ全体で足し算すると,0になるのです。平均値は,ちょうど重心となる値と板書しましたが,ちょうどバランスが取れる値である,ということを示す話です。
いちおう,数式で展開させてみました。平均値は定数扱いとなります。
教科書58ページでは,板書のように考えています。
平均値の仮の値をaとおいて……aからの偏差の和が0になる場合を想定すると……
加算記号の式を作り,それを展開すると,ごらんのように,aは平均値とこたえが出ます。
ひとまず ひとくぎりしましょう
<教科書>
稲葉由之 (2012). プレステップ統計学Ⅰ:記述統計学 弘文堂
<文献>
山内光哉 (1998). 心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社