つづきです。
平均値については,数学記号を使います。教科書55ページ。
平均値エックス・バーを,数学記号で書くと,板書の通りとなります。
加算記号として,ギリシャ文字Σ(シグマ)を使います。
大きく書くと,板書の通りです。
記号シグマの上と下には,はじまりのデータ番号と終わりのデータ番号が入ります。要するに,「こっからここまで足し算せよ」ということです。
終わりのデータ番号は,たいていの場合データの総数ですからnになります。(例えば,5番目のデータまでの足し算だったら,記号シグマの上は5と書かれます。)
記号シグマの後には変数記号と,変数のデータ番号を示す添え字を入れています。
心理学の統計では,たいていの場合,データ番号1からnまでの足し算(総和)となりますから,はじまりのデータ番号,終わりのデータ番号を略して書くことも多いです。
ここまでは大丈夫だと思うけど……
次,加算記号の規則について
定数cにかかわる約束ごと
(1)変数の定数倍の和は,変数の和の定数倍に等しい
定数cをシグマの外に出せるということですね。例えば,7×2+7×5+7×8というのは,7×(2+5+8)となる。……というのを記号で示しただけ。
(2)定数の和は,定数のn倍に等しい。
同じように例をあげると,8+8+8+8+8=8×5ということ。
このあたりも大丈夫だろうと思うよ。
次は分配法則
(3)変数から定数を減算したものの総和は,変数全体の和から定数のn倍を引いた値と同じである。
(4)2つの変数の足し算したものの総和は,一方の変数の和と他方の変数の和を足したものに等しい。
シグマの記号の後ろにかっこが入っていたら,それはシグマ記号の影響が及んでいるということ。かっこ内が単なる足し算引き算の場合には,数学でいう分配法則が成立する。
分配法則あたりから難しくなっていくのかな?
ただし……下記のようにかっこに乗数がついている場合には
先に乗数の計算を行って,分配法則を適用させる必要があります。
これについては,今日の課題で練習問題を作ってあるから,実際に計算してみてください。
数学記号は,ものごとを一般化するために使い,見かけにとらわれないで一発でまとめる,という威力があります。親しみがまったく感じられないからよいのです。
シグマの記号を覚えると,他の統計の教科書なども見てわかるようになるから,加算記号シグマに慣れるのは,とても重要です。
ひとまず ひとくぎり
<教科書>
稲葉由之 (2012). プレステップ統計学Ⅰ:記述統計学 弘文堂
<文献>
山内光哉 (1998). 心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社