甲子園大学心理学部 授業

甲子園大学心理学部 金敷担当の授業をアップします。

心理学統計法1 第2回 (4)

次。心理学基礎実験実習1でも解説したところ。

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統計法1 板書02-07

板書の通り,統計法では,2つ以上の複数の変数の関係を分析していくことが多い。

できれば,原因と結果の関係が望ましいが,心理学では,2つ以上の変数どうしが,一方が変われば,それに伴って他方も変わる,という関係,つまり共変関係を追求している。

その際に,比較する水準の変数,研究者の操作する変数のことを,独立変数 インディペンデント・バリアブル independent variableというよ。別名で,説明変数,要因ともいうね。因果関係でいえば,原因に相当する変数が独立変数だ。

実際にデータとして得られた観測値のことを,従属変数 ディペンデント・バリアブル dependent variableという。独立変数に依存して(従属して)値が変わる変数という意味だ。別名で目的変数,指標とも。こちらも因果関係でいえば,結果に相当する変数が従属変数。

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統計法1 板書02-08

板書のように,グラフに描ける2変数だったとすると,教科書の場合では,横軸(ラベル)になっているのが独立変数,縦軸になっているのが,従属変数となる。グラフは縦置きの場合と,横置きの場合があるから,いつでも横軸が独立変数,縦軸が従属変数というわけではないけれどね。

心理学では特にそうだけど,変数の中の,何かと何かとを,比較しなければならない。そして,どの値で比較するのかを決めなければならない。これが,板書で書いた,「何と何を 何で比較するか」ということだ。

 

心について,相対比較をするというのは,結構な抵抗を受けることが多い。「♪もともと特別なオンリーワン♪」なんて有名な曲があるけど,あれがヒットする前から,抵抗はかなりあった。

「わたしはわたしだ」……「AはAだ」という言葉を,トートロジー 同語反復というんだが……これって,論理的にいえば,いついかなる場所においても正しい。真なんだね。でも,これ以上,内容が何もない空疎な言葉はない……「わたしはわたしだ」を「AはAだ」と隣に並べたから,より空疎さがわかるでしょう?「わたし」「A」これらの記号に代入できる,中身が問題なんだよね。

中身を論ずるには,やはり何か別のもの「あなた」とか「B」とかと比較して,何が違うかを明らかにする必要があると思うんだ。そのための相対比較ということだ。

 

それじゃあ,今日はこれでおしまい。

ありがとうございました(_ _) 

 

<教科書>

稲葉由之  (2012).  プレステップ統計学Ⅰ:記述統計学 弘文堂

 

<文献>

山内光哉  (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社 

 

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