甲子園大学心理学部 授業

甲子園大学心理学部 金敷担当の授業をアップします。

心理学統計法3 第2回 (1)

はい,こんにちは(_ _)

統計法3の2回目,授業名略して話すね。

今日から,2要因分散分析~

統計法1・統計法2みたいに,計算機使って手計算,なんてしないから,少しはラクなはず。

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統計法3 板書02-01

板書,2要因というのは何でしょう?

独立変数が2つ,ということです。

板書のように,言葉だけで説明すると,一方の要因の各々の水準と,他方の要因の各々の水準とを,組み合わせて吟味する計画,ということです。

これを要因計画といいます。

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統計法3 板書02-02

具体例を思い出そう。年度後期の「心理学基礎実験実習2」の最後の課題で行った,「ミュラー=リヤー錯視」の実験が2要因計画の代表例だ。

この実験,独立変数は,

 測定方法:上昇系列・下降系列の2水準

 矢羽の鋏角:60度・120度・180度・240度・300度の5水準

従属変数はPSE(主観的等価点)あるいは錯視量だったね。

錯視量の比較を行う際に,分散分析を使ったけれど,2要因の水準どうしの組み合わせである2×5=10通りの平均値が比較されたはずだ。

この実験は,独立変数がどちらも被験者内要因(ウィズイン・参加者内要因)だった。みなさんは,10通りの組み合わせ条件のすべてについて,主観的等価点をそくていしたはずだ。

他にも,両側性転移を測定する,鏡映描写の実験でも,2要因計画が組まれていたことを思い出そう。(こちらは,利き手条件・非利き手条件・統制条件の練習条件の要因と,試行の要因との2要因だった。)

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統計法3 板書02-03

2要因計画を,一般化して記号で表現すると,板書の通りとなる。

一方の要因名をA,他方の要因名をB,水準の名前を小文字(a,b)と添え字で表現した。2要因においては,要因の水準間で組み合わせが生じることになる。組み合わせの1つを「1つのセル」「1つの細胞」というふうに表現する。

記号で表現することが多くなるから,具体的なデータ分析の中で,記号が何を,どこを指し示しているのか,迷子にならないようにしよう。迷子にならなければ,記号そのものは覚えなくてもよろしい。

とりあえず ひとくぎり
 

<教科書>

小塩真司  (2018).  SPSSとAmosによる心理・調査データ解析:因子分析・共分散構造分析まで 東京図書

<文献>

森敏昭・吉田寿夫(編著)  (1990).  心理学のためのデータ解析テクニカルブック 北大路書房

山内光哉   (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社

 

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