では,2要因分散分析のつづき。
本日は,どちらもビトウィーン,2要因とも被験者間条件(群間,参加者間条件)の場合。
どちらの要因も,グループ間で比較することになる。2水準×2水準の2要因だとすると,全体の被験者数Nは,1つのセルの被験者数nの4倍となる。人数がたくさん必要になるので,実験などで人数を集めるのが大変。でも,計算はいちばんラクだし,有意になり帰無仮説を棄却することができた場合には,たいへんクリアーな結論を導きだせる。
注意点は板書した通り。できるだけ1セルの人数nを同じにするのがベター。さらに計算しやすいという利点もあるが,人数を等しくすると,第2種過誤の生起確率が低くなる。「ほんとうは」帰無仮説を棄却できるはずなんだけど,棄却しないエラーが第2種過誤だったね。
あと注意点は,各セルに人の偏りがないように割り当てを行うところ。無作為 ランダムが望ましいが……乱数表を使ってランダムをめざすと,なぜか偏った感じになってしまうことが多かったりするのが悩みどころ。被験者内条件の「カウンターバランス」ではないけれど,友人グループがいたら,それぞれを別の条件に割り当てるとか,各セルの男女の人数をできるだけ同じにするとか,そういう割り当てを行っていく必要がある。
計算の理屈は「心理学統計法2」で学んだ1要因分散分析と同じ。
Fという値は,条件の分散(水準間の分散)と個人差の分散(個人内変動,誤差項の分散)の比ということになる。個人差の散らばりよりも,条件の分散が大きければ,計算されたFの値は1を超えることになり,実験条件の効果だ,といえる可能性が高まる。
交互作用(AB交互作用)については,次回以降解説する。
で,理屈の数式。全体の分散を,右辺4要素の分散の和という形に分解できる。
分散分析では,分散のことを平均平方 MSと言ったよね。
平均平方は,平方和を自由度で割ったもの。
平均平方そして自由度どうしも,板書のような等式で結べる。平均平方も等式で結べるけれど,省略する。
いちばん最後の,個人内変動の分散を,誤差項ともいうよ。
検定すべきFの値は,板書の通り3つになる。Fの後の括弧は覚えてるかい?
左が分子自由度,右が分母自由度だ。分母自由度は,この計算では個人内変動の自由度となる。
2要因分散分析では,同時に3つの統計的検定の仮説を検証することになる。第1に,要因Aの主効果,第2に要因Bの主効果,第3にAB交互作用だ。
それぞれ帰無仮説があり,等号=で結ばれている記号は,それぞれの条件の平均値ね,そしてそれぞれ対立仮説がある。帰無仮説,対立仮説の記号はわかってるよね?
はぁ
理解できてスマイルするのか
板書書き終わってスマイルなのか
あまりにわからなくてスマイルするしかないのか
どんなもんだろう?
<教科書>
小塩真司 (2018). SPSSとAmosによる心理・調査データ解析:因子分析・共分散構造分析まで 東京図書
<文献>
森敏昭・吉田寿夫(編著) (1990). 心理学のためのデータ解析テクニカルブック 北大路書房
山内光哉 (1998). 心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社