甲子園大学心理学部 授業

甲子園大学心理学部 金敷担当の授業をアップします。

心理学統計法3 第5回 (1)

はい こんにちは(_ _)

2要因分散分析,今回は混合計画について。

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統計法3 板書05-01

混合計画,というのは,2要因分散分析の場合,一方の1要因が被験者間要因,他方の1要因が被験者内要因であるものをいいます。

計算手順は前回と同様なのですが……

「心理学統計法2」の1要因分散分析で被験者内要因を学んだ際と同様で……誤差項の計算に ひと手間かかります。新たに計算する式もあります。

さらに,被験者間要因に対する誤差項と,被験者内要因・交互作用に対する誤差項とが,異なる式によって導かれた異なる値となる点にも注意が必要です。

被験者内要因の,同一人物が何個かデータを出しているところの,合計を出して個人差プールを作っておくのですね。

では例とともに式を紹介します。2×2の混合計画を考えましょう。

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統計法3 板書05-02

こんな感じで,被験者間要因の水準においてn人ずつのデータを取るとしましょう。被験者内要因はb1b2で同一人物がデータを2回出しております。その際に,被験者ごとのデータの合計kを算出しておいてください。これが個人差プールですね。

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統計法3 板書05-03

2要因の被験者間の分散分析のときと同様に,AB集計表は作っておきます。

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統計法3 板書05-04

計算すべき式は,(1)~(5)までは前回と同様になります。(6)が被験者内条件がある場合に増える計算式です。

kの2乗和を要因Bの水準数で割る,というものになります。

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統計法3 板書05-05

平方和の計算は,板書の通りです。先ほどの計算式をご覧のように計算します。SSbetweenは被験者間要因の分散を,SSwithinは被験者内要因の分散を示します。さらに,これらの分散を,より細かく分けることによって,分散分析を行っていきます。

SSw1は,被験者間要因Aに対する誤差項の平方和です。SSBxw2は,被験者内要因B・交互作用ABに対する誤差項の平方和です。

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統計法3 板書05-06

自由度dfはご覧の通りです。平方和と同様に,全体の自由度は,被験者間要因の自由度,被験者内要因の自由度に分けることができ,さらに細かく分けて計算していきます。

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統計法3 板書05-07

平均平方については,5つを算出します。各平方和を各自由度で割るのは同じ手順です。

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統計法3 板書05-08

F値は3つ計算されることになります。要因Aの主効果,要因Bの主効果,AB交互作用,これは前回の2要因分散分析と同じです。(般若の顔で悲しみを表現しようとしたのだが,なんだか悪魔の笑顔になってしまった。)

 

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統計法3 板書05-09

混合計画において,分散を,どのように分解しているかの式です。被験者間成分と被験者内成分に分けることができ,それぞれの内部に誤差項があるということになります。

理屈だけだと極端に難しそうに見えてしまうが,結局Excelで計算するのだから,作業内容さえ覚えれば,それほどでもないです。


とりあえず ひとくぎり 

 

<教科書>

小塩真司  (2018).  SPSSとAmosによる心理・調査データ解析:因子分析・共分散構造分析まで 東京図書

<文献>

森敏昭・吉田寿夫(編著)  (1990).  心理学のためのデータ解析テクニカルブック 北大路書房

山内光哉   (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社

 

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