甲子園大学心理学部 授業

甲子園大学心理学部 金敷担当の授業をアップします。

心理学基礎実験実習1 第1-2回 (7)

 

余談だね。

外向性と内向性の話。

……かの河合隼雄からボクの師匠経由で伝え聞く話によると,性格の外向,内向というのは,30歳を超えて,年を取らないとわからないんだそうだ。それ以上の理由を教えてくれなかったので,なんでだろう?と思っていたけど,よく考えてみると,学校にいる間って,理想とされる優等生像(「自分らしく」も含めて)が決まっているじゃない。就職活動のときだって,理想とされる人物像がおおむね決まっている。そんななかで,望ましさを身につけようと学ぶ学生さんの性格(行動傾向)が,だいたい画一化していくことになるので,個々人をとりあげて外向だとか内向だとかは決められないよね。

30歳を超えて,家庭を持ったり持たなかったりして,生活が安定して,巣(住居)も安定していて……という状況において,はじめて「ウチ」というのが,どこからどこまでか,青年期よりもはっきりしてくるということになる。……とわたくしは勝手にそう考えているのでありました。

実は年齢を重ねると,遺伝的要因が色濃く出てくる,というのは,いま元文献を明らかにできないが,研究などで示されている。年齢を重ねると,つまり大人になると「自分の周囲の環境を自分好みに作り替える」ことが(金銭的・権力的・時間的に)許されてくるわけで,そこから「自分の遺伝の好み」の環境に改変されやすいため遺伝的要因が発現しやすい,というのが理由らしい。

で次の板書

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実験実習1 板書02-05

このイラストはしっぽがおかしい。ハムスターじゃないよなぁ(笑)ポチっとマルだよな。ググって調べて描けよなぁ。

で,動物にも外向-内向というのがあるのだろうか? が余談。

ペットショップなどでハムスターを見るとわしゃわしゃと,延々落ち着きなく動き回っていて,他の個体を踏んででも動き回っている個体がいる。一方で,すみっこで,ずーーーーっと食べ続けて動かない個体がいる。いや,見ていないときは別の行動をしているのかもしれないが,動物にも,なんだか,性格の個体差がありそうだよね。

で,外向,内向という言葉を主張した,C.G.ユングは,外向や内向は遺伝的なもので,わたしたち人類への種の進化の過程で洗練されてきたという。(ごめん,板書の「獲得した」は間違い。「洗練されてきた」に訂正単細胞生物のときからの進化で,えんえん引き継がれて洗練されてきた何ものかがある,それを元型というわけだが……)

これは証拠づけようがない話なので,よくわからないけれど,性格が生物進化の産物というのが興味深い話なので,余談で掲載してみた。

他の哺乳類の動物個体……イヌやネコを飼っている方は,自分のペットは内向だろうか?外向だろうか?   

 

<教科書> 

木下冨雄・上里一郎・中谷和夫・難波精一郎・辻敬一郎  (1975 / 2018).  教材心理学[第4版] ナカニシヤ出版 

 

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