はい,こんにちは。
2要因分散分析のつづき。
前回はメインの分散分析を行った。そして,交互作用が有意であった。
今回は,交互作用とは何か?についての説明から。
交互作用を,言葉で説明すると,板書の通りとなる。
青字で書いたところが例としてあげたものだ。
心臓病の薬を服用している際に,グレープフルーツを食べてはいけないと言われる。このような「食い合わせ」と言われているものが,交互作用の例となる。
単純な2要因として,要因A:心臓病の薬(なし・あり) × 要因B:グレープフルーツの摂取(なし・あり) を考えてみよう。従属変数は,心臓病関係の指標……よくわからんが……を考えよう。
グレープフルーツの摂取がない場合には,心臓病の薬あり条件(服用)は,薬なし条件(服用しない)よりも,心臓病の治療に効果があることだろう。
しかし,グレープフルーツの摂取がある場合,心臓病の薬あり条件は,薬なし条件と比べて,心臓病の治療に対して妨害になることだろう。
というように,一方の要因の効果が,他方の要因の水準ごとに異なっているというのが,交互作用ということだ。
実際にグラフで見てみよう。わかりやすくするために線でつないだグラフにした。
要因Aも要因Bも2水準の,2×2の再単純な要因計画を考える。
板書の(1)~(3)の上半分は,交互作用のないグラフのパターンだ。
(1)の場合は,主効果も交互作用も有意ではない……研究失敗ですね。
(2)の場合は,要因Bのみ主効果が有意であり,交互作用が有意ではない……(4)のような交互作用を研究計画としては狙っていたが,交互作用が有意ではなかったパターン。
(3)の場合,要因A,要因Bのどちらも主効果は有意であるのだが,交互作用が有意でない……要因AとBの関連がなかったということです。2回の実験を1回にまとめただけなので,実験計画としては失敗の部類に入ります。
板書(4)~(6)の下半分は,交互作用のパターン
(4)の場合,Bのみ主効果が有意,a1とa2とでグラフの傾きが違うので交互作用が有意である……Bの効き目がa1とa2とで違うということだね。
(5)の場合は,要因A,要因Bのどちらも主効果が有意,交互作用も有意である……要因Bはa2にのみ効果をもたらすというパターンがこれ。
(6)の場合,要因A,要因Bのどちらも主効果は有意ではないのだが,交互作用だけが有意である……要因Bの効き目がa1とa2とであべこべになっているということだ。
2要因以上の実験計画を組んで研究を行う場合,交互作用が有意になるように要因を選ぶのが非常に重要であり,実際にデータで交互作用が有意であるものが研究成功ということになる。2要因間の関係のしかたが明らかになるからだ。つまり,(1)~(3)では,せっかく選んだ2要因なのだが,要因間の関係がよくわからない……要因間の関係がないのかもしれないし,あるのかもしれないけれど,有意ではないから不明瞭なんだね。
交互作用が有意である場合には,主効果に関するデータの解釈は後回しになる。(5)のようなパターンの場合には,要因A,要因Bのどちらも主効果は有意なのだが,a1では要因Bの効き目はないし,b1では要因Aの効き目がないことになるので,主効果が有意である結果を解釈しても,データ全体を説明していないことになる。
ラストの話は,具体的に卒業研究で,研究計画を立てて,実際に研究を行って,論文を書いていく際に必要になるから覚えておこう。
とりあえず ひとくぎり
<教科書>
小塩真司 (2018). SPSSとAmosによる心理・調査データ解析:因子分析・共分散構造分析まで 東京図書
<文献>
森敏昭・吉田寿夫(編著) (1990). 心理学のためのデータ解析テクニカルブック 北大路書房
山内光哉 (1998). 心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社