甲子園大学心理学部 授業

甲子園大学心理学部 金敷担当の授業をアップします。

心理学統計法3 第4回 (1)

はい,こんにちは。 

2要因分散分析のつづき。

前回はメインの分散分析を行った。そして,交互作用が有意であった。

今回は,交互作用とは何か?についての説明から。

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統計法3 板書04-01

交互作用を,言葉で説明すると,板書の通りとなる。

青字で書いたところが例としてあげたものだ。

心臓病の薬を服用している際に,グレープフルーツを食べてはいけないと言われる。このような「食い合わせ」と言われているものが,交互作用の例となる。

単純な2要因として,要因A:心臓病の薬(なし・あり) × 要因B:グレープフルーツの摂取(なし・あり) を考えてみよう。従属変数は,心臓病関係の指標……よくわからんが……を考えよう。

グレープフルーツの摂取がない場合には,心臓病の薬あり条件(服用)は,薬なし条件(服用しない)よりも,心臓病の治療に効果があることだろう。

しかし,グレープフルーツの摂取がある場合,心臓病の薬あり条件は,薬なし条件と比べて,心臓病の治療に対して妨害になることだろう。

というように,一方の要因の効果が,他方の要因の水準ごとに異なっているというのが,交互作用ということだ。

実際にグラフで見てみよう。わかりやすくするために線でつないだグラフにした。

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統計法3 板書04-02

要因Aも要因Bも2水準の,2×2の再単純な要因計画を考える。

板書の(1)~(3)の上半分は,交互作用のないグラフのパターンだ。

(1)の場合は,主効果も交互作用も有意ではない……研究失敗ですね。

(2)の場合は,要因Bのみ主効果が有意であり,交互作用が有意ではない……(4)のような交互作用を研究計画としては狙っていたが,交互作用が有意ではなかったパターン。

(3)の場合,要因A,要因Bのどちらも主効果は有意であるのだが,交互作用が有意でない……要因AとBの関連がなかったということです。2回の実験を1回にまとめただけなので,実験計画としては失敗の部類に入ります。

 

板書(4)~(6)の下半分は,交互作用のパターン

(4)の場合,Bのみ主効果が有意,a1とa2とでグラフの傾きが違うので交互作用が有意である……Bの効き目がa1とa2とで違うということだね。

(5)の場合は,要因A,要因Bのどちらも主効果が有意,交互作用も有意である……要因Bはa2にのみ効果をもたらすというパターンがこれ。

(6)の場合,要因A,要因Bのどちらも主効果は有意ではないのだが,交互作用だけが有意である……要因Bの効き目がa1とa2とであべこべになっているということだ。

 

2要因以上の実験計画を組んで研究を行う場合,交互作用が有意になるように要因を選ぶのが非常に重要であり,実際にデータで交互作用が有意であるものが研究成功ということになる。2要因間の関係のしかたが明らかになるからだ。つまり,(1)~(3)では,せっかく選んだ2要因なのだが,要因間の関係がよくわからない……要因間の関係がないのかもしれないし,あるのかもしれないけれど,有意ではないから不明瞭なんだね。

 

交互作用が有意である場合には,主効果に関するデータの解釈は後回しになる。(5)のようなパターンの場合には,要因A,要因Bのどちらも主効果は有意なのだが,a1では要因Bの効き目はないし,b1では要因Aの効き目がないことになるので,主効果が有意である結果を解釈しても,データ全体を説明していないことになる。

 

ラストの話は,具体的に卒業研究で,研究計画を立てて,実際に研究を行って,論文を書いていく際に必要になるから覚えておこう。

 

とりあえず ひとくぎり 

 

<教科書>

小塩真司  (2018).  SPSSとAmosによる心理・調査データ解析:因子分析・共分散構造分析まで 東京図書

<文献>

森敏昭・吉田寿夫(編著)  (1990).  心理学のためのデータ解析テクニカルブック 北大路書房

山内光哉   (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社

 

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