甲子園大学心理学部 授業

甲子園大学心理学部 金敷担当の授業をアップします。

心理学統計法1 第3回 (5)

本日のラスト。やってみたい人はやってみてくれ。

Microsoft Excelで度数をかぞえよう。ピボットテーブルとか便利なのがあるんだけど……あえて,COUNTIFという関数を使って数えることをしてみる。

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統計法1 教科書表3-1のデータ

教科書の表3-1のデータをMicrosoft Excelに入力してみた。あとで関数の式を入力しやすいように,名義尺度である性別の男性は1,女性は2に変換した。

教科書と同じように,性別だけ数えてみよう。

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統計法1 度数分布表の出力先

まず,度数分布表の出力先を作ってみた。1画面に入るように,余白部分に作った。(これは1画面内に入れたいから,このセル番地に作ったのね。印刷やデータの活用を考えると,別の場所に作る方がよいと思うよ。)

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統計法1 関数を入れてみよう

その後,まず男性の数を数えようか。男性の度数を出力するセルをクリックして選択する。そして,「ホーム」タブの中にある,「ΣオートSUM」の横にある▼印を押すと,画面のようにメニューが出てくる。そこで「その他の関数」を選ぶ。

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統計法1 COUNTIF関数を選ぶ

見えにくいのだが……こういう「関数の挿入」のダイアログボックスが出てくるから,「関数の分類」の脇にある↓を押して「統計」を選び,アルファベット順に並んでいる関数の中から「COUNTIF」というのを選ぼう。(タイプした方が速い,と思ったら「=COUNTIF(」と半角入力してみよう。)

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統計法1 COUNTIFのダイアログボックス

そうすると,上図のように,「関数の引数」というのが出てくる。どこからどこまでのデータを調べるか明らかにする「範囲」というのと,何にあてはまったセルの個数をCOUNT数えるのかという「検索条件」というのとの入力を求めてくる。

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統計法1 範囲の設定

範囲の中の空白にカーソルが点滅している状態で,性別データの一番先頭(B2セル)を左クリック押したまんまで,データが入力されている一番下(B37セル)までドラッグしよう。範囲が指定されるはずだ。(このとき,他のセルをクリックしてしまうと,範囲がリセットされてしまうので,範囲指定した後は,むやみにクリックしないようにしよう。)直接タイプで「=COUNTIF(」と入力した人も,同じようにドラッグして範囲指定できるぞ。 

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統計法1 検索条件の入力

次に検索条件の入力,「検索条件」の右の入力部分をクリックすると,「範囲」で指定したセルの点滅が消える。さて,ここに答えを出したいのは,男性の人数だから……データでは1と入力したので……数字の1を空白部分にタイプしよう。(数式に入力された文字が見えにくいが……「=COUNTIF(B2:B37,1)」と入力されている。直接タイプして,範囲指定をした人は,「=COUNTIF(B2:B37」とまで入力されているはずだから,その後に半角カンマ「,」を入力し,続いて「1」を入力して,「)」かっこを閉じよう。)

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統計法1 度数が出た

「OK」をクリックすると(タイプした人はエンターキーを押すと),答えの度数がこのように出てくる。

女性も同じように,COUNTIF関数を呼び出して範囲指定,検索条件のところに今度は「2」を入力すると出てくる。

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統計法1 総数はオートサム

総数はどうやって出そう。ここでは,「ΣオートSUM」を単純に押しておこうか。エンターキーを押すと男性・女性の合計が出るよ。SUM関数だね。

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統計法1 クロス集計表では?

34ページの問題3-1,クロス集計表を作るにはどうしようか?とりあえず出力先を作ったよ。年間収入については符号だけを入力した。(かしこい あなたは,実際に問題を解いてから,検算のために,この作業をしてね。)

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統計法1 COUNTIFS関数

COUNTIFSという関数を使おう。呼び出し方は先ほどと同じ。呼び出したら……

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統計法1 検索範囲・検索条件が複数

COUNTIFSと複数形になっているだけあって,検索範囲・条件が複数あって,その条件をすべて満たすものの度数が出てくるんだね。「検索条件範囲1」には性別のデータ範囲(B2からB37)を,「検索条件1」には男性の行に答えを出力しようとしているから「1」を入力。「検索条件範囲2」には年間収入のデータ範囲(C2からC37)を,「検索条件2」には年間収入200万円未満の符号「1」を入力しよう。

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統計法1 2つの条件に合致する答え

ということで,男性で200万円未満の人の度数が出てきたよ。他の空白の度数も,同じように,COUNTIFS関数で,範囲は同じ,条件の数値だけ変えると出てくる。

いちいち関数を呼び出して範囲指定するのが面倒な場合……範囲指定の際に,絶対参照マーク「$」を行と列のどちらにも入れておいて(「$B$2」というふうに),出てきた答えをすべてのセルにコピー貼り付け,「検索条件1」「検索条件2」だけ変更しなおす……なんてことができるよ。 

でも,絶対参照のテクニックは……別の授業で学ぶ話だから省略。

ここでExcelの計算を紹介したのは,計算して答えを出すのがメインの目的ではない。むしろ,データが大量になったときの対処法として学んでほしい。30程度の総数ならば,教科書のように「正」の字を書いていくやり方がよい。でも,総数が500だったら?……手や指で計算するのは,面倒なだけでなく,読み飛ばしやダブりなどのミスが出やすいと思うんだ。そんなときは,データをExcelに入力して(入力エラーもあるけどね……)関数で数えると,データ入力が正確ならば,答えの度数もまた正確になる。

この授業では手計算でやってもらって理屈を学ぶことが目的なんだけど……計算が苦手だと計算自体が目的化して理屈を学べるところまで行かないんだよね……授業を離れていえば,コンピュータが得意なことは,コンピュータに任せるのがよいと思う。

ということで,今日の授業はおしまい。

ありがとうございました(_ _)

 

<教科書>

稲葉由之  (2012).  プレステップ統計学Ⅰ:記述統計学 弘文堂

 

<文献>

山内光哉  (1998).  心理・教育のための統計法[第2版] サイエンス社 

 

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