甲子園大学心理学部 授業

甲子園大学心理学部 金敷担当の授業をアップします。

心理学研究調査法 第5回 (1)

はい,おはようございます(_ _) あるいは こんにちは(_ _)

本日は,チームごとに考えた質問項目を選定します。

このブログは,その後の話です。

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研究調査法 板書05-01

 

ご覧のように,仮説を考える,というものです。

本来ですと……仮説には2つのレベルがあります。大きなレベルの仮説(研究仮説・モデル・理論などと言う),と,小さなレベルの仮説,すなわち板書している作業仮説というものです。

1.大きなレベルの仮説(研究仮説・モデル・理論)

より一般化された仮説ということになります。例えば,相関関係で仮説を組み立てると「攻撃性が高ければ高いほど甘いものをよく食べる」……この仮説は完全に想像にすぎませんが……「攻撃性が高いということは,攻撃行動に出て他者を傷つける可能性が高い。自分自身の攻撃行動を防ぐために,攻撃行動が出そうなイライラしたときに甘いものを摂取して抑えていくのではないか?」……なんて理屈が出てくるわけですね。

2.小さなレベルの仮説(作業仮説)

こちらの仮説は,具体的な研究に即した仮説となります。大きなレベルの仮説を受けて,攻撃性の高さを「日本版Buss-Perry攻撃性質問紙」で測定し,甘いものをよく食べるかどうかを,チームの質問「甘いものを食べる」4:ひんぱんに食べる─1:まったく食べない,で測定する,と仮定しましょう。その際の作業仮説は,<「攻撃性質問紙」の下位尺度○○の得点と,「甘いものを食べる」の評定値とが,正の相関関係を示す>,になります。

本来は,大きなレベルの仮説から,作業仮説を導き出して,調査・研究をすすめていくのですが,これは授業で,チームごとに強制的に「○○尺度」の課題を割り当てているため,研究仮説・モデル・理論は考えにくいと思います。チームで考えた質問項目についても,とりあえず思いつきで列挙したものなので,大きなレベルの仮説を,みなさんは想定していないことでしょう。

したがって,ここでの「仮説を考える」というのは,小さなレベルの作業仮説だけを考えておいてください,ということになります。

この仮説,つまり調査結果の事前予想,を立てることができるためには,各チームのテーマである「○○尺度」の下位尺度の得点が何を意味するのか?を理解できている必要があります。

得点が高いと***で,得点が低いと@@@で……というように,文献を読んで,得点がどのように解釈できるのかを考えておいてください。

本日の考える部分は,課題にはしません。

しかしながら,みなさんのチームの最終プレゼンテーション,および個人レポートにとっては重要なところになります。冒頭の「目的」のところを書くために必要なところだからです。

また,冒頭の目的の部分に,作業仮説を書くことができたならば,考察する際に,結果が仮説通りだった(なぜか?),仮説通りではなかった(なぜ?),という文言を加えて,レポートの内容を分厚くすることができます。見かけ上の文字量も増えます。

ということで,正の相関なのか,負の相関なのかだけでもよいですから,作業仮説を立てて,調査結果の予想をしておきましょう。もちろんノートにメモしておくのが重要ですよ。

 

本日はこんなところです。

ありがとうございました(_ _) 

 

<教科書>

小塩真司・西口利文(編)  (2007).  質問紙調査の手順(心理学基礎演習Vol.2) ナカニシヤ出版

 

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